大磯とわたし

湘南の西のほうに大磯という町がある。わたしは熱海行きの各駅停車で向かう。いつも北側を向いて座る。どうしてかというと。だんだん山と電車、電車と海の距離が狭まっていくのを感じたいから。それは胸にぐっとくる時間経過。おととしまでいた神戸で三宮行きの阪急電車にのり、ホームタウンの岡本に近づくと見えてくる景色と同じ。似ているのではなくてまるで「同じ」と思える。

この光り、この風の吹きかた、ホームに降り立つと香ってくる旬の草木、花あるいは土や苔、潮。嬉しいが、さみしくもある。わたしはここに住んでいないから。

わたしは幼いころから幾度となくここに住んでいるTさんに会いに来ている。

そして山、海、大磯それじたいとTさんのお住まい・周辺環境まるごとに会いに来ている。

この春からわが絵がいくつかTさんの保有となり、(わたしが憧れてやまない)お部屋に飾ってくださることとなった。わたしのあしあとを残せたような気がして、さみしさが郷愁へと変容してゆく。

そんな折、大磯に少しの心を置いてきた翌々日のニュース「大磯ブックマルシェ」開催と!大磯の町全体で本にまつわる催しがひらかれる2日間なのだとか。なんと拙著漫画「ぼくと先輩」の販売を助けてくださっている「ビーナイスの本屋さん」もご参加ではありませぬか。縁(えにし)!すぐさまビーナイスS田さんに「ぼく先も持ってってください」とお願いした。


5月、夏顔負けの光り、濃くなる影。お天気雨が舞うかもしれない、あの土地には。わたしの絵があって、本もたどりついてもしかして、誰かが手にしてくれるのかもしれないと想像する。わたしって幸福な作家だな。

大磯ブックマルシェの詳細は公式Twitter

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↑ネームのぼくと先輩。そうそう、色んなところへ行きたかったんだよね。

(2023年 4月13日 木村さくら)

ぼくと先輩のまど

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