抽斗に呼ばれる(木村さくら個展第一報)
ドラえもんは来ない。望みを叶えてくれる者はいない。
だってわたしの望みはわたしが動かさないかぎり叶わないし、ほんとうの望みがじぶんでもよくわからない。
わからないから何かを作っている。
具体化するまで塗ってはみるが、決め手に欠く。あと2日で作りたいってときに。
大の字で眠れない。丸まっても不安。どうしたい、どうしたいのだ。
そんな真夜中に六畳間のすみっこにあるIKEAのチェストが揺れだした(ように感じた)。
「いちばん上のひきだしには、今年のコマい絵が雑多にほうりこまれているね」
水彩でのデッサン、色合わせの練習。パステルの練習。映画を観て印象をスケッチしたもの。草花のデッサン。
これまで約10ヶ月の日々の歩みがそこにある。
「ある」。これほど心づよい味方があるか。
翌朝は作業内容確定発進。わたしは安心感に包まれて起きあがった。
今年約10ヶ月間の絵は不安と悲しみ、憂鬱と倦怠、迷いと後悔の産物である。
画家じたいはそのような精神状態だったのに、絵は可憐にほほえんでいるからふしぎだ。
グルグルの渦もなければ、血や目玉や臓物も描かず、暗い影とか天変地異もなく悪魔もいない。
優しい花束のようだ。静かなさざ波のようだ。
「箱庭のさくちゃんだ」
抽斗をかき回していたわたしはとっさに思いだす。
庭でひとり遊びをしていたおさなごのじぶんを。
草、土、獣毛。水たまり、木の実。
風の無軌道。生活の音色と匂い。
さくちゃんが生涯わすれぬひとりきりの五感の記憶。
そんなもの現代を生きるうえで役に立たない
きみはにぶい
できるようにする努力にこそ意味がある
人間のくず、と言われたこともある彼女の不安は10ヶ月なんてものじゃなかった。
さくちゃんが呼んでいる。
あなたがみんなに言いたかったこと、望みはたったひとつだよ。
それはかつて、4月の冷たい雨の日に、ご近所のお嬢さんからもらったことば。
「おともだちになって」
わたしはそう言うよ。いまやっとみんなに。
絵もあなたにそう言うよ。聞きにきてほしいと思っています。
木村さくら展「女」
女がテーマの絵画個展
女の居ずまいや動きの素描
女子のパワフルイラストレーション
女性性がうなりをあげる抽象大作
女の画家が描いている
女がそこに見るものは
女どうしのきずな
女性のピュアネス
女の世界観は命。命がつづくこと。かがやくこと
わたしたちはつづく。いつかの終わりまで
わたしたちを祝おう
※男子禁制ではありません。来いよ。
※この時代に「女女」言っていますが、わざとです。
※年末です。今年がんばったお祝い&お茶タイムをどうぞ。
絵の女たちがあなたさまを見守り、抱擁します。
会場:月光荘サロン「月のはなれ」
12月5日(月)~12月25日(日)
〒104-0061
東京都中央区銀座8丁目7-18
03-6228-5189
Instagram@ginza_tsukinohanare
営業日:不定休
平日:OPEN14時 CLOSE23:30
日・祝:OPEN14時 CLOSE21:00
会場は飲食店であるため12月はパーティー・忘年会シーズンにあたり、急な貸し切りなどが予想されます。展示をじっくりご覧になりたいかたはご来店予約の上お越しください。
画家の在店日にご予約希望のかたは木村さくらのTwitter DMまで直接お問い合わせ下さい。
くれぐれもお早めのご予約を。お待ちしております!
(2022年11月5日 木村さくら)
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