月はこっちにでている

みなさま、こんにちは。

いつもここへ来てくれてありがとう。

今日は小冊子「SUN」につづく新作をご案内します。

タイトルは「moon」。これはぬり絵として製品に仕立てました。

しかしイラストどまりではなくて、ちゃんと物語があります。


月子は真昼の公園にぽっかり空いた不思議な門を見つけました
すると門のむこうからテンが走り出て、月子と月子の影を切り離してしまいました

夜の砂浜で向かい合った月子と月子
ふたりのおどりは嵐を呼び、さけび声は雷になってかがやきました

大波が月子と月子をべつべつに押し流しました
「もうひとりの月ちゃん、いなくなっちゃった」
ふたりが目覚めた先にはそれぞれの人生が待っていました
「いつかまたあの子に会えるよね」月子たちはそう思っています

きっと、きっと会える



本でいうと4ページ分の画面に、少しだけのストーリーを印字しました。

少女ふたりの出会いとその後の長い人生は、断片的な絵をながめたり色を塗る作業の中で皆さんに想像を膨らましてほしい。「moon」制作にあたって考えてきたことを以下に記しておきます(長文です、読んでいただければ嬉しい)。


*こどもの絵

近年は友人のこどもたちが小学生以上になって、描いたり作っているものを見せてくれるようになりました。

いろいろな子がいますが、執拗に「迷路」を描いたり、手指などの細かい描写にこだわる子の絵に興味を持ちました。

よく描けるこどもに対し「絵が得意な子」のラベル貼りをしないで、その「絵自体」をよく見て、とわたしは思います。

こどもには、そこに何が描いてあるのかを見つける他者が必要です。

今回わたしの「moon」は「じっと見てもらう」ことを前提で、じぶんの子供時代に立ち返った制作感覚を持って作ろうと思い手探りで発進しました。

*じっと見てもらう絵の製品を作りたい

AIが作成する絵が話題になっているようです。見る者に物語を想起させる「情報」がそこには描かれていると感じます。

その点は人間が描くものと大差ないでしょう。違いは情報を受け取る他者の必要性です。

先に述べたように、こどもにとって他者の視点は重要だし、それは大人になった絵描きにとっても同じこと。「見てもらう」ことで未来に向かう先が変わるのです。

一見して流されず、じっくりと絵を見てもらうにはどうすればいいのだろう。

ゲーム性を含んだもの、例えば「ウォーリーをさがせ」や「間違い探し」はいい線だ。

「おとなのぬり絵」なるものは根強く人気のようで、書店にはひとコーナー設えてあるほど。

ああ「ぬり絵」いいな。負担がすくない趣味や発散方法を探しているひとに合うのではないか。作業する「癒やし」のイメージもある。

*癒やしといえば

絵を描き、物語を編み、じぶんで本を出版しているわたしが作った物を、今もどこかで誰かが見て(読んで)くれていることは重々承知だけれど、目に見える(聞こえる)かたちで返答を受け取る機会は少ないのです。いつのときも「届いているのだろうか」と心配しているし「この方向でいいのだろうか」と足元グラグラです。

そんなじぶんをなだめていく目的も「moon」にはあります。

繰り返しになりますが「人にじっくり見てもら絵」を「子供時代の制作感覚」でもって作画することで、わたしは自身の癒やしを感じています。

さらに新しい感覚も芽生えました。わたしは7割くらいでいいんだと。

色を塗るあなたが、その作業のなかで独自の物語を編み、千差万別の作品に仕上げるのだと思いました。


ぬり絵物語「moon」は2022年10月25日(火)発売です。

このたび初の販売形式をとります。

データ配信!ご購入くださったみなさまの元へ「すぐ」のお届けとなります。PC、スマホ画面上で見るだけでも、紙に刷り出してさっそく塗ってみても。

ともかく即あなたの元へ行きます!

発売日25日は新月です。そんな「月がない一日」にぜひ「moon」を手に入れてください。一緒に物語を仕上げてくださいませんか。

そしてあなたを、内側から照らすひかりになりたいのです。

(2022年10月24日 木村さくら)



*ぬり絵の使いかた

【horobooksストア】でご購入の上、ダウンロードしてお使いください。

horobooksストア→https://horobooks.stores.jp/

ご購入後は何枚でもプリント可能。お一人でも、ご家族・ご友人と塗り絵大会・オフ会などにもご活用下さい。

塗り絵以外の使い方も可能です。印画紙に刷り出してそのまま飾ってもよいし、スマホ壁紙などにも。

いずれも販売目的の製品製作やデータの転売はご容赦下さい。

*製品概要

価格(税込):3,000円

サイズ:A4

推奨印刷形式:モノクロ(インクは顔料であれば耐水性があり、塗り画材に透明水彩なども使用できます)

*紙版「moon」

水彩紙や和紙を用いて印刷済みの製品も計画しています。

他作品(小冊子のsun、構想中のstarとセットになる予定です)と共に「2022年の木村さくら制作物」BOXようなものを12月の個展期間に販売企画中です。


ぼくと先輩のまど

木村さくらの漫画本 「ぼくと先輩」ホームページ 本には入りきらない 「ぼく先」世界のかけら ひとつひとつを発信します

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