Road to ぼくと先輩 3巻「車の旅」
わたしの作画的挑戦は続く。犬のつぎは車です。
車と共に生きてこなかった、東京のど真んなかに生まれたわたし。犬と同じくその骨格がインプットされていないがため描くのがむつかしい題材です。
骨格を意識することは絵を描く最良のトレーニングであり、近道です。人体も犬も車も同じ。わかっちゃいるけど悩ましい。実戦に勝るものなし。描いていくしかない。
さて、ぼく先の新しい物語では、主人公たちは車にのり、ある合流地点を目ざします。
そう、近場くんと遠久野さんは別々の冒険をすることになります。
わたしはこの春563kmを車で移動。東灘から市原まで、真夜中の引越しでした。
冷たい3月の雨。ねこは泣きつづけ、運転する夫を眠らせないため歌いました。カンサスを。ジャーニーを。(ドリームシアターは案外ねむいってことでやめました。)
途中車は橙の灯が濃い霧をいろどる異界へ入りました。豊田のあたり。自動車工場でしょうか。煌々と稼働する工業地帯をわれわれを乗せたぽっちゃりと色白のチビ子(車)が分け入る。奇妙なサーカスへ迷い込んだテリアのよう。
横浜から羽田の湾岸へ出、千葉県への架け橋は東京湾アクアライン。海中トンネルからはきだされた車はフライングダッチマンよろしく海上高速道路へ。その体験だけでバカンスとなりそうな特別な道路。
わたしは「実際ここに来ることになるとは」と考えていました。
わたしの身に2021年初春から立て続けに起こる変調。それが次回作(ぼく先3巻)に影響しないわけはありません。
旅の途中アクアラインを通過すること。長年考えてきたぼく先の物語のなかにそれがありました。
「未知の想像をえがく」から「実際に見て感じてきたことを描く」への移り変わりを促されたように感じます。
それでも「これは異世界ファンタジー」とお思いでかまわなくて、だれかにとっては戯言、他の人にとってのリアル。これからもひとりひとり読みかたがちがう、あなただけのぼくと先輩です。
3巻「想像上の本」は徐々に実現へ向かっています。どうか待っていてください。
(2021年11月6日 木村さくら)
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